Matsuyama Tomokazu FIRST LAST 松山智和作品集

発刊:2024年3月10日
価格:3,520円(税込)
判型:A4変形判、上製本
頁数:208頁
ISBN978-4-907083-92-0 C0071

 

【紹介】

2024 年に、ヴェネツィアで発表された松山智一の〈Fictional Landscapes(架空の光景)〉シリーズが、美術界に衝撃をもたらした。日本の絵巻と現代アートが融合し、劇的な鑑賞体験を見る者に与える松山の作品は、圧倒的な技術でリアルに景色や人物を描き出す。その唯一無二の世界観は、スケールの大きさとともに見る者に没入感を与え、若者を中心に広い支持を集めている。
本書は2025 年3 月〜5月に開催された「松山智一展 FIRST LAST」に合わせて刊行。東京で初の大規模個展には、日本初公開となる大型の絵画作品をはじめ、映像作品、インスタレーション、屋外彫刻などおよそ40 点が展示され、大きな反響を呼んだ。
本書には、近年の主要作品から、展覧会のタイトルにもなった最新シリーズ〈First Last〉まで、ディテールを加えた100 点以上の図版をフルカラーで紹介。
美術評論家・建畠晢による論考、ISSEY MIYAKE のデザイナー・宮前義之との対談、主要作品のストーリー解説など、松山智一の活動の現在地を包括した一冊。

【目次】

作品
1章 Homecoming Day
2章 Fictional Landscape
3章 Pan-Am Spiritual
4章 First Last
5章 Painting in Motion
6章 Land Scape

論考
「静かなる衝撃:松山智一の新展開」建畠 晢

対談
宮前義之(デザイナー)✕松山智一

展覧会歴
作品解説
作品リスト

 

【まえがきより】

本書は、「松山智一展 FIRST LAST」に合わせて刊行されました。この展覧会は、ニューヨークを拠点にグローバルな活躍を見せる現代美術家・松山智一による、東京で初となる大規模個展です。日本初公開となる大型の絵画作品をはじめ、映像作品、インスタレーション、屋外彫刻などおよそ40 点を展示し、松山の活動の現在地を包括的に紹介します。
2002 年に渡米した松山は、当時アート、音楽、ファッション、ライフスタイルが交差し、独自のカルチャーを育んでいたブルックリンで、アーティストとしてのキャリアを歩み始めました。文化的実験場ともいえるその熱気のなかで、DIY 精神にあふれるクリエイティブなコミュニティの一員として独自の技法を磨き、急速な情報化によって変化する現代社会を、自身のアイデンティティを通して見つめ、そのリアリティを描き出してきました。松山は、世界を形作る多様な文化、伝統、宗教、歴史、そして現代的な事象や日常的な消費物からロゴやデザインに至るまで、そこに存在する視覚言語を丹念なリサーチによって引用し、鮮やかな色彩、繊細な描写、複雑なパターンで重層的かつ同時代的な芸術表現へと再構築していきます。
本書は、近年の代表作に加え、展覧会のタイトルにもなった最新シリーズ〈First Last〉を収録しています。このシリーズでは、ますます深まる世界の分断と対立、ジェンダー平等に伴う新たな矛盾、情報操作やフェイクニュースの蔓延、揺らぐ個人のアイデンティティなど、混沌とした今の時代を、ルネサンス期や近世の絵画の主題を参照しながらクリティカルに捉えることを試みます。
松山智一展 FIRST LAST 実行委員会 代表・額賀古太郎

松山智一《1_We Met Thru Match.com》2016年 ©Matsuyama Tomokazu 松山智一《This Is What It Feels Like》2016年 ©Matsuyama Tomokazu 松山智一《Passage Immortalitas》2024年 ©Matsuyama Tomokazu 松山智一近影(2025年) ©Matsuyama Tomokazu Photo: Fumihiko Sugino

 

【著者プロフィール】

松山智一(まつやま・ともかず)

1976年岐阜県生まれ、ブルックリン在住。絵画を中心に、彫刻やインスタレーションを発表。アジアとヨーロッパ、古代と現代、具象と抽象といった両極の要素を有機的に結びつけて再構築し、異文化間での自身の経験や情報化の中で移ろう現代社会の姿を反映した作品を制作。新宿東口駅前広場の《花尾》など、パブリックアートプロジェクトも手がける。