発刊:2020年7月6日
価格:2,500円(+消費税)
判型:B5判
頁数:128頁
ISBN978-4-907083-61-8 C0040

特集
Living with Water
新時代のグリーンインフラと水系デザイン

コロナ後の都市の回復を見据えて、自然災害を乗り越え、水とともに生きるための新しい都市デザインや、グリーンインフラの先進的事例を特集。ハリケーンで水没した街を自然の力で回復させるアメリカのグリーンニューディール、オランダの洪水管理デルタ・プログラム、昨年の台風19号による多大な水害を教訓に街と川を一体に考える日本の流域デザイン、そして雨水利用の世界的潮流を紹介します。

目次
特集
Living with Water
これからのグリーンインフラと水系デザイン
4 巻頭言「明日また陽は昇る 私たち時代のグリーンニューディール」ケイジ・アサクラ
13 共感とつながりの地域経済学試論 山崎 亮

《Part 1》Living with Water これからの都市デザイン
20 水とともに生きる 都市の浄化と回復のためのデザイン デイヴィッド・ワゴナー
32 水を基盤とする都市空間の再編とデザイン 山口敬太
40 オランダに学ぶ洪水管理と都市デザイン 武田史朗‎
50 水と生きるための流域デザイン 安田浩保

《Part 2》グリーンインフラと雨水デザイン
62 雨水デザインの潮流とグリーンインフラ 神谷 博
70 雨水デザインと水リテラシー 世界のグリーンインフラを訪ねて 笹川みちる
78 中水プラントの試行と展望 ドイツと日本との比較 小川幸正
86 ドイツにおける雨水産業の最先端 岡田誠之
92 ドイツの自治体における雨水施策 木村洋子

連載
100 ヴィンテージ・アナログの世界 レコード・レーベルの黄金期㉓_高荷洋一
104 平家納経を考える① 提婆品_恵美千鶴子
108 動物たちの文化誌㉙ キツネの表象_早川 篤
116 欧州グリーン・インパクト⑤ 温暖化時代のフランスの水と庭 遠藤浩子
124 表紙の作家 池田 一「Water’s-Eye」 清水祐子

著者紹介
Keiji Asakura:Asakura RobinsonCompany(ARC)代表。高校時代に渡米し、カリフォルニア工科大学ランドスケープ学科に学ぶ。40年以上にわたり、アメリカ国内外で都市計画やランドスケープの設計・プランニングに携わる。2004年にARC設立。受賞歴多数。

山崎 亮:1973年愛知県生まれ。studio-L代表、コミュニティデザイナー。2005年studio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するための「コミュニティデザイン」の先駆的実践者として、全国で住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザイン、市民参加型のパークマネジメントなどに取り組む。

David Waggonner:Waggonner & Ball Architecture/Environment(ニューオーリンズ)代表。アーバンウォーターデザインを主導し、歴史的建築物の保存の分野で著名な事務所。アメリカの港湾地域や東海岸、アジアでの実践プロジェクトがある。

山口敬太:京都大学大学院工学研究科准教授。1980年生まれ。京都大学地球工学科卒業、同大学院博士課程修了。専門は、都市計画・デザイン史、景観論。インフラの再編・活用による都市デザインの研究と実践を行う。編著書に『まちを再生する公共デザイン』など。

武田史朗:立命館大理工学部学授。1972年生まれ。東京大学工学部卒業。ハーバード大学GSD、大阪府立大学大学院博士課程修了。公共的空間や大学キャンパス空間などの設計活動を行いながら、分野横断的な環境デザインのプロセスの研究提案を行う。著書に、『自然と対話する都市へ:オランダの河川改修に学ぶ』など。

安田 浩保:新潟大学准教授。1974年栃木県生まれ。中央大学大学院修了。2004年に博士(工学)を取得。専門は水理学、河川工学。国土交通省北陸地方整備局 千曲川堤防調査委員会委員などを歴任。台風19号の発生直後に放映されたNHK「日曜討論」に出演し、今後の治水対策の方向性を提案した。

神谷 博:NPO雨水まちづくりサポート理事長、建築家(アトリエ水系デザイン主宰)、景観アドバイザー。1949年生まれ。法政大学建築学科にて「環境生態学」を20年間担当。現在、法政大学エコ地域デザイン研究センター客員研究員、野川流域連絡会座長、多摩川流域懇談会運営委員長。日本建築学会の雨水規準作成に携わる。

笹川みちる:NPO法人雨水まちづくりサポート理事。1974年神奈川県生まれ。東京大学教養学部文化人類学科卒業後、英国イーストアングリア大学開発学修士課程修了。NPO法人雨水市民の会理事、日本建築学会あまみず普及小委員会委員として雨水活用・水循環をテーマとした普及啓発活動に従事。市民向けのツール開発、講座企画などに携わる。

小川 幸正:NPO法人雨水まちづくりサポート理事。1951年神奈川県生まれ。大阪大学大学工学部環境工学科卒。大林組で各種水処理施設やバイオガス施設などを担当し2016年退職。現在は、雨水活用や中水利用を含む給排水衛生設備を研究。NPO法人雨水市民の会理事。

岡田 誠之:東北文化学園大学名誉教授。1947年岡山県生まれ。関東学院大学大学院博士課程修了。工博・技術士。専門は身近な水の衛生学。日常生活の中において「水」「におい」に関することを衛生的観点から研究している。著書に『生活とにおい』、『水とごみの環境問題』(共著)などがある。

木村 洋子:アトリエPAO代表、NPO雨水まちづくりサポート理事1947年福岡県生まれ。女子美術大学卒卒業後、独自で建築を学ぶ。「町で暮らす」をテーマに建築とそれを取り巻く環境が人に及ぼす影響力を研究。2003年~06年京都造形芸術大学でランドスケープを学び、卒業後は緑化と自然環境をテーマに地域参加型のまちづくりを実践。一級建築士、雨水デザイナー、園芸福祉士。