『長谷川三郎 空想美術館』

生誕120周年記念刊行!
河﨑晃一 著
『長谷川三郎 空想美術館』

2026年夏刊行予定!

著者:河﨑晃一(『長谷川三郎 空想美術館』刊行委員会 編)
刊行:2026年6月夏予定
仕様:B5判変形、上製、約280ページ、フルカラー

【長谷川三郎ブレークの兆し】

長谷川三郎(1906–57)は、日本の抽象絵画の先駆者として、制作および理論の両面で、日本近代美術史に重要な役割を果たした人物です。これまで、長谷川の人物像およびその活動はあまり知られていませんでしたが、近年、国内外で研究・再評価が進み、長谷川の足跡にスポットライトが当たるようになりました。

とくに、2019年に横浜美術館で開催された国際巡回展「イサム・ノグチと長谷川三郎」展で長谷川の作品70点が展示され、さらに2022年に長谷川が寄与した「抽象と幻想」展(1953〜54年)を再考・再現した東京国立近代美術館での「プレイバック『抽象と幻想』展」の開催によって、長谷川三郎への注目は徐々に高まりを見せています。さらに、国内では若い美術史家により長谷川研究も進んでおり、海外では長谷川三郎を含む展覧会も企画されています。

【著者・河﨑晃一と長谷川三郎】

こうした再評価の背景には、40年以上にわたり長谷川の調査・研究に携わり、展覧会の開催や多くの論考を著した、河﨑晃一氏の功績があります。河﨑氏は、芦屋市立美術博物館および兵庫県立美術館の学芸員として、「阪神間モダニズム」という概念で、小出楢重や吉原治良など地元を中心とした作家の活動を俯瞰的に見てきた美術史家です。長谷川の母校であり、また河﨑氏自身も学んだ甲南学園(神戸市)の長谷川三郎記念ギャラリー創設に尽力し、同施設を拠点に作品や資料の収集・保全・研究の礎を築きました。

その研究成果として、長谷川三郎の思想と作品、足跡をまとめた書籍を執筆中の2019年2月、河﨑氏は病のため逝去されました。病身を顧みずに尽力された横浜美術館での展覧会が、ぶじ開幕したのを見届けてのことでした。

長谷川三郎の俳句の色紙を見る長男の長谷川尚武氏(右)と河﨑晃一氏(2015年4月、長谷川三郎記念ギャラリーにて 写真提供:甲南学園

 

【生誕120年を機に】

本書は、河﨑氏の遺志を受け継いだ人々──長谷川三郎記念ギャラリー、親交のあった美術研究者、そして家族──が、2020年に出版のための刊行委員会を組成し、生前、河﨑氏と数多くの出版企画をともにしてきた弊社が事務局・版元となって、出版のための作業をスタート。遺稿や40年間の研究資料を精査し、構成案を何度も話し合いながら、あるいは新しい研究成果も反映して、再構成したものです。そして、編集も急ピッチで進められるなか、ちょうど長谷川三郎の生誕120年を迎えることから、このたび刊行の運びとなったものです。

長谷川三郎に関する本格的な書籍は、本書が初となります。これを機に研究が進み、第二、第三の書籍が生まれ、あるいは展覧会が企画されることを心より願いつつ、刊行に向けた作業に邁進いたします。

目次(予定)

第1部 画家:長谷川三郎
※長谷川による主要作品63点を掲載

第2部 思想家:長谷川三郎
※長谷川が著した数多くの論考のなかから、著名な「現代の表現と理論」「東洋と西洋/古典と前衛」「作家論」「空想美術館」の4つのテーマで、27本の論考を全文再録 解題:平井章一(関西大学教授)、谷口英理(国立アートリサーチセンター主任研究員

第3部 長谷川三郎の「空想美術館」
※長谷川三郎が目指した近代美術館としての「空想美術館」を考察

第4部 河﨑晃一「長谷川三郎」
※長谷川三郎研究の第一人者による長谷川三郎論(遺稿を補遺・編集)

第5部 資料編
長谷川三郎年表・展覧会歴
長谷川三郎作品リスト(甲南学園・長谷川三郎記念ギャラリー編)
その他の資料(写真、書簡など)