BIOCITY ビオシティ 101号 コスモス国際賞の30年 秩序と調和、真の共生を拓く
発刊:2025年1月11日
価格:2,750円(税込)
判型:B5判
頁数:128頁
ISBN978-4-907083-90-8 C0040
特集「コスモス国際賞の30年 秩序と調和、真の共生を拓く」
【紹介】
国際花と緑の博覧会の基本理念「自然と人間との共生」を継承し、1993年に創設されたコスモス国際賞の歴史を概観。BIOCITYと同じく30周年を迎えた同賞は、広く海外の隅々に視野を広げ、人類の福祉の増進に寄与する研究活動にいち早く光を当て、新しい価値観の潮流を日本にもたらしました。10人の受賞者の講演記録で、その業績をたどります。
【特集目次】
巻頭言「コスモス国際賞 30 年の歴史とこれから」岩槻邦男
基調論文「自然と人間とが共生する新しい時代へ」山極壽一
[受賞者による講演記録]
「生命の未来」エドワード・ウィルソン博士(行動生物学)
「自然の社会に生きる」フィリップ・デスコラ博士(文化人類学)
「プラネタリーバウンダリー」ヨハン・ロックストローム博士(環境学)
「生物多様性を生きる」岩槻邦男博士 (植物学)
「風土学が目指すもの」オギュスタン・ベルク博士(風土学)
「生物多様性と種の絶滅速度」スチュアート・L. ピム博士(保全世態学)
「ポリネシア人とオーストロネシア語族」P. ベルウッド博士(考古学)
「生物多様性の損失と感染症」フェリシア・キーシング博士(感染症学)
「環境不正義を止める」K. シュレイダー= フレシェット博士(環境学)
「エビデンスに基づいた保全」ウィリアム・サザーランド博士(動物学)
概観「コスモス国際賞の誕生と時代の動き」三谷彰一
歴代受賞者一覧
【まえがきより】
コスモス国際賞が歩んできたこの30年は、まさに科学技術の時代から地球全体の生物圏の健康と安定を希求する時代への大きな変化を経験してきたと言ってよいだろう。1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」であり、2025年の大阪関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であることからもその
推移が読み取れる。1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」がその契機になり、コスモス国際賞はその理念である「自然と人間との共生」の継承と発展を目指してきた。[中略]
地球温暖化や気候変動はグローバルにやってくるが、災害は地域レベルで起こる。2024年に起こった能登半島地震や豪雨による災害はそのことを如実に示して
いる。そのリスクに対処するには地域の自然の特徴に対応した方法が必要になる。コスモス国際賞はこうした地域レベルの活動を先導するような、自然と人間との共生を目指す世界的な視野を提供した偉人を表彰してきた。これからもその目標は変わらない。(山極壽一、基調論文より)
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第1回(1993年)受賞のギリアン・プライス卿 | 野生のチンパンジーとグールド博士(2017年受賞) | プラネタリーバウンダリーについて解説するロックストローム博士(2015年受賞) | 2025年の受賞のサザーランド博士の記念講演より |
【出版社より】
BIOCITYは、1994年に創刊された地球環境に関する総合雑誌として創刊され、2024年に30周年、100号を迎えました。エコロジーという言葉も馴染みのないなかでの船出でしたが、今では環境への関心はかつてないほど高まっています。この30年の環境にたいする時代の変遷を、同じ30周年を迎えたコスモス国際賞の歩みから概観します。
また101号で定期刊行を終了し、今後はBIOCITY 別冊や書籍にて発信を続けてまいります。