発刊:2020年4月6日
価格:2,500円(+消費税)
判型:B5判
頁数:128頁
ISBN978-4-907083-60-1 C0040

特集
気候非常事態宣言!
世界にひろがる気候アクションの潮流

16歳のグレタ・トゥーンベリが一人で始めた運動は、世界の若者に飛び火し、2019年3月のグローバル気候ストライキには世界中で150万人が参加。11月には1万人以上の科学者が、気候の「非常事態声明」に署名した。2019年からラッシュを迎えた国や自治体による「気候非常事態宣言」は、2020年2月時点で1,368件にのぼり、日本でも壱岐市を皮切りに始まった。高まる運動の最新情報と社会的背景を紹介します。

目次
8 巻頭言「気候非常事態宣言」の世界動向 山本良一

Part 1 気候非常事態の意味するもの
16 フランス・ヨーロッパにおける気候非常事態への緊急対応 浅沼=ブリス・セシル
24 気候非常事態宣言の意味するもの 後藤敏彦
30 人新世と気候非常事態 篠原雅武
36 非常事態から脱出する 時間と空間を見通して未来を拓く 水谷 広

Part 2 日本からの気候アクション
44 誰がなんと言おうと、私たちは声をあげ続ける 宮崎紗矢香
50 気候非常事態への建築対応 ゼロエネルギーの建築へ 田辺新一
58 素材利用と二酸化炭素大幅削減への期待 外岡 豊
66 東京都にみる地球温暖化対策 藤井康平+寺西俊一
71 都道府県で初の気候非常事態宣言 真関 隆
78 気候非常事態という人類の病への処方箋 糸長浩司

ミニ連載
86 ヴィンテージ・アナログの世界 レコード・レーベルの黄金期㉒_高荷洋一
90 奈良の書③ 光明皇后御願五月一日経_恵美千鶴子

連載
94 動物たちの文化誌㉘ キツネとお稲荷さん_早川 篤
102 コミュニティデザイン学科通信⑮ 醍醐孝典
110 欧州グリーンインパクト④ ヴェルサイユの王の菜園_遠藤浩子
118 社会を動かすアートの新潮流⑤ サウジアラビアの現代美術展_清水裕子

著者紹介
山本良一:茨城県水戸市出身、東京大学名誉教授。同大学先端科学技術研究センター教授、生産技術研究所教授などを経て2010年より現職。専門は材料科学、持続可能製品開発論、エコデザイン学。日本エシカル推進協議会名誉会長、LCA日本フォーラム会長、いばらき大使。

浅沼=ブリス・セシル(Asanuma-Brice Cécile):フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員。CNRS北アジア代表事務所副所長を経て、2020年よりMITATE Lab. 福島の災害に関する共同研究同責任者。フランス国立社会科学高等研究院(パリ)卒業。専門は住宅政策論。福島原発事故の管理について研究・執筆し、日仏において同テーマに関する多くのシンポジウムを主催。

後藤敏彦:認定NPO法人環境経営学会会長、日本サステナブル投資フォーラム最高顧問、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン理事などを兼務。2013年から環境省の環境情報開示基盤整備事業「ESG対話プラットフォーム」で座長を務める。『地球白書』など、著書多数。

篠原雅武:1975年、横浜市生まれ。京都大学総合生存学館特定准教授。専門は社会哲学、都市と空間の思想史。人文学の立場から、人間の条件をめぐる世界観を新しく描き出すことを目指す。著書は、『複数性のエコロジー』(2016年)、『人新世の哲学』(2018年)など多数、主な訳書に『自然なきエコロジー』(ティモシー・モートン著、2018年)などがある。

水谷 広:社会地球化学研究所 主任研究員。1949年東京生まれ。米国州立メリーランド大学大学院農学生命科学系研究科化学部博士専門課程修了。最近の興味はジオエンジニアリング、地球システムの過去と未来、知的生命体ETの発見。編著に、『地球の限界』、『続地球の限界』(共に日科技連、1999年、2001年)、『生物環境科学入門』(森北出版、2004年)など多数。

宮﨑紗矢香:Fridays For Future Tokyoオーガナイザー。1997年宮崎県生まれ。立教大学社会学部卒。2019年9月20日のグローバル気候マーチでは、2,800人の隊列の先頭を歩き、翌週26日のNHK「クローズアップ現代+」に生出演。著書に、『グレタさんの訴えと水害列島化する日本』(共著、学習の友社、2020年)がある。

田辺新一:早稲田大学建築学科教授。1958年福岡県生まれ。専門は建築環境学。デンマーク工科大学研究員、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員などを経て、2001年より現職。日本学術会議会員、空気調和・衛生工学会会長。主な共著に『住環境再考』、『ゼロ・エネルギーハウス』(ともに萌文社)などがある。

寺西俊一:一橋大学名誉教授。1951年石川県生まれ。専門は、環境経済学・環境政策論。環境的に持続可能な経済のあり方とそのための政策論を検討している。主な著書に、『地球環境問題の政治経済学』(1992年)など。

藤井康平:神奈川大学非常勤講師。1980年山口県生まれ。専門は、環境・エネルギー政策論。地方政府や地域における再エネ・省エネのあり方について研究している。共著書に『農家が消える』(2018年)など。

真関隆:長野県環境部環境エネルギー課長。1989年に長野県職員となり、1995年から4年間、長野オリンピック冬季競技大会組織委員会事務局に勤務。その後、教育委員会事務局、市町村課、観光振興課、情報統計課、長野地域振興局(県現地機関)環境課などを経て、2018年より現職。

外岡 豊:埼玉大学名誉教授。専門は、エネルギーと環境、とくに温室効果ガスと大気汚染物質の排出削減対策、持続可能性社会論。現在、低酸素社会推進会議幹事、森街再生会議、NPO・EEハーモニー代表、エコステージ協会理事などをつとめる。

糸長浩司:日本大学生物資源科学部特任教授。エコロジーと環境創造について研究し、飯舘村の支援活動などを行う。NPOエコロジー・アーキスケープ代表理事。日本建築学会地球環境委員長。1995年に日本のパーマカルチャー運動を始めエコビレッジの研究を進める。長年、山形県飯豊町などで住民参画型地域づくり、神奈川県の丹沢大山自然再生協議会において自然と共生した地域づくりに取り組む。