発刊:2022年1月7日
価格:2,750円(税込)
判型:B5判
頁数:128頁
ISBN978-4-907083-74-8 C004

全国で活躍するコミュニティデザイナーの集団studio-Lのメンバーが、各自影響を受けた人物をとりあげ、その思想や社会的背景や、思想家との時空を超えた対話から、ウィズコロナ時代のまちづくりへの示唆を導き出す。

 

 

ジョン・ラスキンの書斎
(英国ブラントンウッド)
studio-Lの思想の源泉
(山崎亮の本棚) 
ホイジンガが教鞭をとった
ライデン大学(オランダ) 
自転車専用道路で通勤する市民
(コペンハーゲン) 

目次
特集
コミュニティデザインの思想
studio-Lの書斎から
監修:studio-L 山崎 亮

2 総論「もうひとつの社会」へのスタディツアー 山崎 亮
16 イヴァン・イリイチ『脱学校の社会』学習のためのネットワーク 醍醐孝典
24 シューマッハ『スモール・イズ・ビューティフル』小さな実践のもつ可能性 林 彩華
32 晏陽初『その平民運動と郷村建設』学びの力、人の力 出野紀子
40 アマルティア・セン 豊かさの評価とケイパビリティ 山本洋一郎
48 ハンナ・アレント『人間の条件』現代につながる社会の危うさ 神庭慎次
56 トーマス・ヒルシュホーン「ソーシャル・スカルプチャー」偶然の体験を媒介し記録するアート 洪 華奈
64 パウロ・フレイレ『被抑圧者の教育学』沈黙を行動に変えるデザイン 西上ありさ
72 ヨハン・ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』遊びから学びへ、参加のデザイン 太田未来
80 ヤン・ゲール『人間の街』都市と公共アクティビティの可能性 藤山綾子
88 アンソニー・ギデンズ「近代とはいかなる時代か」を問う 渡辺直樹
12 マハトマ・ガンディ 自己制御のできるコミュニティづくり 平野紗矢香
ミニ連載
102 ヴィンテージ・アナログの世界 レコード・レーベルの黄金期㉘ 高荷洋一
106 女性と写経② 吉備由利願経 恵美千鶴子

連載
110 動物たちの文化誌㉝ カラカミのネコ  早川 篤
118 欧州グリーンインパクト⑨ パリのシェアガーデン 遠藤浩子

著者紹介
山崎 亮:1973年愛知県生まれ。studio-L代表、関西学院大学教授。2005年studio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するための「コミュニティデザイン」の先駆的実践者として、全国で住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザイン、市民参加型のパークマネジメントなどに取り組む。

醍醐孝典:1976年大阪府生まれ。studio-L創設メンバー。2015-2020東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科准教授。大学院時代より姫路市家島地区のまちづくりに関わる。墨田区食育推進計画、富岡市世界遺産まちづくり、御所市教育大綱策定などを担当。NPO法人ソーシャルデザインラボ理事長。

林 彩華:1977年大阪府生まれ。関西大学卒業後、建設コンサルタントを経て、2013年よりstudio-Lに参画。鳥取県智頭町の総合計画策定、草津川跡地整備など自治体支援や地域ブランディング、近鉄百貨店あべのハルカスなどのプロジェクトを担当。土木学会景観デザイン研究編集賞委員会委員(2006–08年)

出野紀子:1978年東京生まれ。2001年より英国を拠点にテレビ番組の制作などに携わる。2011年にstudio-Lに参画。高齢になっても地域で自分らしく暮らすことや、楽しく健康づくりするプロジェクトに携わる。Co-Minkan普及実行委員会共同代表。

山本洋一郎:1980年愛知県生まれ。東京工業大学工学部建築学科卒業。同大学院修了。在学中に、パリ・ラ・ヴィレット建築大学留学。清水建設株式会社設計部勤務を経て、2014年よりstudio-Lに参画。北海道と関東を中心に、住民参加型の建築プロジェクト、地域包括ケアを目指した医療福祉系プロジェクト、新しい学校をつくる教育系プロジェクトなどに携わる。一級建築士。

神庭慎次:1977年大阪府生まれ。大阪産業大学大学院で環境デザインを学ぶ。修了後は、同大学内にNPO法人環境デザイン・エキスパーツ・ネットワークを設立し、その組織運営に携わる。2006年よりstudio-Lに参画。コミュニティデザイン、グラフィックデザイン、写真撮影、映像づくりなどに携わる。

洪 華奈:1984年滋賀県生まれ。2006年成安造形大学でメディアデザインを学ぶ。インテリア照明メーカーDI CLASSEを経て、2011年よりstudio-Lに参画。東京を拠点に、真岡観光ネットワーク事業、立川市子ども未来センター市民活動支援事業、睦沢町上市場地区魅力づくり事業などを担当。

西上ありさ:1979年北海道生まれ。studio-L創立メンバー。近年はケアに関するプロジェクトに取り組むことが増えており、地域包括ケアシステムの構築、介護予防事業、健康づくり、就労支援事業などに関する計画策定と実践などを担当。著書に『ケアする人のためのプロジェクトデザイン』(医学書院)がある。

太田未来:1980年神奈川県生まれ。茨城大学大学院在学中は農村計画を専攻。修了後は調査系コンサルタント会社を経て2014年よりstudio-Lに参画。公園づくりやパークマネジメント、図書館などの公共施設の設計や活用に関するプロジェクトに関わる。また最近では、民間商業施設や寺院のコミュニティデザインにも携わっている。

藤山綾子:1983年神奈川県生まれ。金融機関勤務を経て、多摩美術大学でデザインを学ぶ。2013年よりstudio-Lに参画。立川市子ども未来センターでの市民活動支援を中心に、御蔵島村総合計画などの計画策定支援、コーディネータースキルを活かした仕組みづくりやそのデザインを担当。

渡辺直樹:1986年大阪生まれ。同志社大学社会学部卒業。大学では組織社会学を専攻。大学卒業後は富士通株式会社に入社し、法人営業として建設・不動産業界などのクライアントを担当した。2013年に退職後、studio-Lに参画。主にパークマネジメントや公共施設の活用、地域の計画づくりなどのプロジェクトに携わる。

平野紗矢香:1980年岩手県生まれ。ウエスタンミシガン大学大学院修了。専攻は画像処理。IT企業を経て、2015年よりstudio-Lに参画。市民活動団体やボランティアのコーディネーター、地域福祉支援、市民参加型設計ワークショップ、市民活動センター推進支援、教育大綱策定支援などを担当。

高荷洋一:神保町に店舗をもつ国内最大のクラシックレコード専門店「エテルナトレーディング」店主

恵美千鶴子:東京国立博物館・研究員。千葉大学大学院で日本近代美術史を専攻し、近年は書の鑑賞史を専門に研究。東博では古筆の展示および、同館150年史編纂の準備に携わる。『禁裏・公家文庫研究 第8輯』(田島公編、思文閣出版、2022年3月刊行予定)に「平清盛・頼盛両筆『紺紙金字経』と『厳島切』の整理と伝来」を寄稿。

早川 篤:1962年生まれ。天王寺動物園飼育係、学芸員。関西学院大学SDGs・生物多様性研究センター客員研究員。

遠藤浩子:造園家・ガーデンライター。東京出身。慶應義塾大学卒業後、エコール・デュ・ルーヴルで美術史を学ぶ。庭園の世界に魅せられ、ヴェルサイユ国立高等造園学校およびパリ第一大学大学院にて歴史的庭園と景観コース修了。現在フランス在住。